「100万円の表」
こごま英語教室では、中学1年生の2学期に学習する「人称代名詞の表」を「100 万円の表」と呼んでいます。
「I, my, me…you, your, you,…he,his,him…」という、人称代名詞の「主格・所有格・目的格」を表にまとめたもの、です。
なぜ「100万円の表」と呼んでいるかというと、この人称代名詞の表を、記憶の中にしっかりとインプットしておくことは、英語の世界を旅していく上で、「100万円ぐらいの価値があること」だと考えているからです。
私の塾に初めてきた生徒さんの中で、「英語がすごく苦手です」とか「学校の授業がわからなくて…」という自己申告があるタイプの方には、まず、初回の授業で、この表を書いてもらうことから始めます。
まずは、日本語の8項目を記憶する。
生徒さんの前に、何も書いていない四線紙ノートを広げます。
その白紙のページの上に、まずは、日本語の8項目──「私、あなた、彼、彼女、それ、私たち、あなたたち、彼ら」を書いてもらい、口頭でも言いながら練習します。
この8項目を、この順番で覚えることが大切だからです(それが あやふやな生徒さんも多いです)。
次に、この日本語の8項目を例として、「単数形」と「複数形」の意味を説明し、漢字の書き方も一緒に練習します。
高校生の方でも、「単数系」とか、「復数」とかの誤字で覚えこんでしまっていることも「よくあること」なので、そこもチェックします。
中学生の方の場合は、「彼」という漢字が書けない場合も多いです。また「単数」や「複数」という言葉を認識していない方、意味が理解できていない方も、結構、いらっしゃいます。
そのあたりの漢字を書く練習を一緒にしながら、じっくりと記憶を養うような勉強ができることも、「1対1」の指導法の強みだと思っています。
そのあと、高校生の方には「主格・所有格・目的格」の項目を教えることもありますが、生徒さんの表情を見て、「ちょっと、しんどそうだな」と判断した場合は、とりあえず「1番目・2番目・3番目の形」という言葉で代用して教えます。
中学校の現場だと「は・が・の・を・に」という助詞を説明に使って教えていらっしゃる先生も多いので、「ほらほら、中学の〇〇先生が、『はがのをに』って教えているやつね。アレよ〜」と言ったりします。
そうして、「日本語の8項目」×「主格・所有格・目的格の3項目」の、合計24項目を、発音しながら書いてもらいます。
「学校の英語の授業がわからなくて…」と訴える生徒さんの場合、この合計24項目をすべて書けないケースは、非常に多いです。
よくあるミス
たいていの方は、「I, my, me」は書くことができます。
ところが……
①「your」を「you're」、「his」を「he's」と書いてしまう。
②「his」と「him」を混同している。
③ 「she」を「shi」、「they」を「thay」と書いてしまう(中1・2の方には多いです)
④「her」「our」「us」「their」「them」といった単語が、そっくり記憶から抜け落ちている。(学年を問わず、たくさんいます)
⑤「our」を「オゥア」、「us」を「ウス」のように発音してしまう(中学生には非常に多いです)。
⑥スペルミスの「ナンバー1」は「their」。「thair」とか「thier」とか「they're」みたいに書いてしまう。
⑦「it」の所有格を「its」と正確に書ける方は、ほとんどいないなぁ……というのが、実感です。
この「100万円の表」を、きちんと記憶の中にインプットして、「価値あるもの」として使いこなすために。
この「人称代名詞の表」を、白紙のノートの上に、日本語の項目も含めて、中学生で「80秒以内」、高校生で「70秒以内」に、自分の記憶だけで再現できるようにするのが、最初の課題になります。(私のベストタイムが51秒なので、そこから算出してあります)。
時間制限を設けているのは、「すらすらと、手を止めずに書ける」ようになっておくことが必要だからです。
また、「白紙の上に、何のヒントもなしに、自分の記憶だけで『人称代名詞の表』を完全に再現できる」ことも、とても大切だと考えています。
なぜ「1対1」の教え方を採用しているのか
この100万円の表——人称代名詞の表の記憶が、何年もあやふやなままの状態で、学校の授業を受けているとするなら、おそらく生徒さんご自身の力だけで、学校の授業に追いつくのは、かなり難しいことだと思います。
グループレッスンの塾や、教師巡回型(教材を解いている生徒のもとに、教師が巡回していくタイプの塾)での指導だと、生徒さんお一人一人をじっくり相手にするわけではないので、「人称代名詞の表があやふや」な状態から、「英語の授業がわかるようになる」という状態にまで持っていくのは、相当に困難なことだと思います。
また、大学生の家庭教師の方だと、1対1での指導は受けられますが、英語が非常に苦手な生徒さんを相手に、「英文法を体系的に教える」という経験を持っている方は、まずいらっしゃらないかと思います。
最初の1%
「英語の世界を旅する」ときに、基礎的な英文法の力(中学で習う学習領域)は絶対に必要だと、私は考えています。
中学で学習する内容は、たとえば、英検1級を持っている状態(=英語で、ある程度不自由なくコミュニケーションが取れる状態)になるための英語習得量の、だいたい1%ぐらいの分量なんじゃないかと思うのですが、でも、この1%は、必要不可欠な「最初の1%」なのです。
その「最初の1%」を、中学生・高校生のみなさんに指導していくことが、日本人のプロの英語教師としての私の仕事だと思っています。
そして、この「最初の1%」を指導するためには、「1対1」という指導方法が、もっとも効果があがりやすいのだと考えています。
だから、こごま英語教室は、「1対1」という指導方法にこだわっています。
(2023.09.11)
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